2007/11/29
ポンヌフの恋人/レオス・カラックス監督作品
監督・脚本/レオス・カラックス
主演/ドニ・ラヴァン ジュリエット・ビノシュ
レオス・カラックス監督の、『ポンヌフの恋人』は知っている人も多いかもしれない。フランスの映画監督であるカラックスは、デビュー時「ゴダールの再来」と謳われた監督です。映像と映像にある「溝」が、なんともいえない。
彼のデビュー作『ボーイ・ミーツ・ガール』はすばらしかった。
難解で、せりふが極端に少なく、80年代の映画なのにモノクロなのですが、ものすごく映像が綺麗でした。それに、モノクロにしたことで、却って古さを感じさせず、新鮮な印象を与えていると思いました。『ポンヌフの恋人』も例外ではありません。
この『ポンヌフの恋人』は、カラックスの青春三部作の完結編で、主人公は一貫してドニ・ラヴァンが演じています。彼の野暮ったい表情や演技は、とても演技っぽくなくて、逆にすばらしい。
恋人役のジュリエット・ビノシュも、非常に独特な美しさを放っています。
二作め以降、カラーの作品ばかりですが、古さはちっとも感じませんでした。カラックスは普通の監督とは違い、型にはまった撮り方をしない監督だと思います。
カメラが思いきり手ぶれでぶれているシーンも多く、視点があちこち行ったり来たりをくり返す。なんとなく、岩井俊二を彷彿とさせる撮り方だと思いました。
あらすじやストーリーは、説明しません。優れた小説に解説が不要なのと同様、優れた映画に説明はいりません。
ただ、観てください。
俺たちが、「いま生きている」、ということを思い出させる映画です。
カラックスはこの映画の制作に10年程かかったと言っています。
総制作費14億円のこの作品は、そこら辺のハリウッド映画よりもとてつもなく地味で(本当はちっとも地味じゃない。ある意味、すごく派手です)、しずかで(花火の音や音楽が非常にすばらしい)、狂気的ですが、それもまた、カラックスが「ゴダールの再来」と言われる所以ではないでしょうか。
ただの純愛映画ではない、ただならぬ「生臭さ」を、強く感じさせる映画だ、と思います。
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